プリハードン鋼とは?焼入れ不要で使える金型用鋼材の特徴・用途・選定ポイントを徹底解説

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プリハードン鋼とは、あらかじめ一定の硬度に熱処理された状態で供給される鋼材のことを指します。通常の金型用鋼材は加工後に焼入れ・焼戻しを行う必要がありますが、プリハードン鋼はその工程を省略できるため、金型製造の効率化やコスト削減に大きく貢献します。

特にプラスチック金型やダイカスト金型の分野では、加工性と耐久性のバランスに優れた材料として広く採用されています。例えばP20鋼などは代表的なプリハードン鋼として知られ、金型産業では非常に一般的な材料です。

しかし、プリハードン鋼は「焼入れ不要」というメリットだけで選んでしまうと、硬度不足や摩耗寿命の問題につながることもあります。材料特性や用途を正しく理解した上で選定することが重要です。

目次

プリハードン鋼とは何か

プリハードン鋼とは、鋼材メーカーがあらかじめ焼入れ・焼戻し処理を行い、一定の硬度に調整した状態で出荷される鋼材のことを指します。

「プリ(Pre)」は「事前に」、「ハードン(Harden)」は「硬化」を意味しており、つまり事前に硬化処理された鋼材という意味になります。

一般的な鋼材の場合、以下の工程で金型を製作します。

工程 通常鋼材 プリハードン鋼
材料加工
焼入れ 必要 不要
焼戻し 必要 不要
仕上げ加工 必要 必要

このようにプリハードン鋼は熱処理工程を省略できるため、納期短縮や製造コスト削減に大きく貢献します。

プリハードン鋼の主な特徴

1 焼入れ工程が不要

最大の特徴は金型完成後の焼入れが不要である点です。

通常の金型用鋼材では、機械加工後に焼入れを行うため、以下のような問題が発生することがあります。

  • 熱処理による歪み
  • 寸法変化
  • 追加研磨の必要性
  • 納期の延長

プリハードン鋼ではこれらの問題が大幅に軽減されるため、高精度な金型加工に適した材料として評価されています。

2 加工性が良い

プリハードン鋼の硬度は一般的にHRC30〜40程度で設定されています。

これは以下のバランスを考慮した硬度です。

  • 切削加工のしやすさ
  • 金型としての耐摩耗性
  • 靭性(割れにくさ)

特にマシニング加工やフライス加工では、材料硬度が高すぎると工具摩耗が激しくなります。アルミ加工とは異なり、鋼材の切削条件設定は非常に重要です。

3 歪みが少ない

通常の金型では、焼入れ工程で熱歪みが発生することがあります。

この歪みにより

  • 寸法精度の低下
  • 組立不良
  • 研磨工数の増加

といった問題が発生します。

プリハードン鋼は最初から熱処理済みのため、金型完成後の変形リスクが小さいことが大きなメリットです。

代表的なプリハードン鋼の種類

プリハードン鋼にはいくつかの代表的な鋼種があります。

鋼種 硬度 主用途
P20 HRC28〜32 プラスチック金型
NAK55 HRC37〜43 精密金型
NAK80 HRC37〜43 鏡面金型

P20鋼

最も一般的なプリハードン鋼であり、プラスチック射出成形金型で広く使用されています。

  • 加工性が良い
  • コストが比較的安い
  • 汎用性が高い

そのため大型金型や試作金型などに多く採用されています。

NAK55・NAK80

NAK系鋼材は日本製の高性能プリハードン鋼として知られています。

特にNAK80は鏡面研磨性に優れており、以下のような用途で使用されます。

  • 透明プラスチック金型
  • 光学部品金型
  • 化粧品容器金型

プリハードン鋼の主な用途

プラスチック射出成形金型

プリハードン鋼の最大用途はプラスチック射出成形金型です。

射出成形金型では以下の要素が重要になります。

  • 寸法精度
  • 加工性
  • 研磨性
  • 耐摩耗性

これらの条件をバランスよく満たす材料としてプリハードン鋼が採用されています。

ダイカスト金型(低圧用途)

一部のダイカスト金型でもプリハードン鋼が使用されます。

ただし高温環境では以下の鋼材が使用されることが多いです。

  • SKD61
  • H13

金型鋼の種類について理解することは材料選定に重要です。

プリハードン鋼を使用するメリット

納期短縮

焼入れ工程が不要になるため、金型製作のリードタイムを大きく短縮できます。

特に試作金型では数日〜1週間程度の短縮になることもあります。

加工コスト削減

熱処理費用が不要になるため、金型製作コストを抑えることができます。

また焼入れ歪みによる再加工も減るため、トータルコストが下がるケースが多くなります。

寸法安定性

焼入れ後の変形がないため、加工精度を維持しやすい点も重要なメリットです。

プリハードン鋼のデメリット

一方でプリハードン鋼にもいくつかの注意点があります。

硬度の上限が低い

通常の工具鋼ではHRC50以上に焼入れできますが、プリハードン鋼はHRC30〜40程度が一般的です。

そのため

  • 高摩耗環境
  • 大量生産金型

では寿命が短くなる可能性があります。

追加熱処理が難しい

すでに熱処理済みのため、加工後にさらに焼入れを行うと材料特性が変化する可能性があります。

プリハードン鋼の加工時の注意点

プリハードン鋼を加工する際は、通常の炭素鋼とは異なるポイントがあります。

工具摩耗

HRC30以上の硬度があるため、工具摩耗が進みやすいです。

そのため

  • 超硬工具の使用
  • 適切な切削速度
  • 冷却管理

が重要になります。

加工条件の最適化

例えばフライス加工では以下のような条件が推奨されることがあります。

条件 目安
切削速度 80〜150m/min
送り 0.05〜0.15mm/tooth
工具 超硬エンドミル

よくある質問

プリハードン鋼とはどのような鋼材ですか?
プリハードン鋼とは、鋼材メーカーがあらかじめ焼入れ・焼戻しなどの熱処理を行い、一定の硬度に調整した状態で供給される鋼材です。通常の金型用鋼材は加工後に熱処理が必要ですが、プリハードン鋼はその工程を省略できるため、金型製作の納期短縮やコスト削減につながります。特にプラスチック射出成形金型などで広く使用される材料です。
プリハードン鋼の硬度はどのくらいですか?
プリハードン鋼の硬度は鋼種によって異なりますが、一般的にはHRC30〜40程度に設定されています。この硬度は、切削加工のしやすさと金型としての耐摩耗性のバランスを考えて調整されています。例えばP20鋼はHRC28〜32程度、NAK55やNAK80などの高性能プリハードン鋼ではHRC37〜43程度になることがあります。
プリハードン鋼と通常の工具鋼の違いは何ですか?
最大の違いは熱処理のタイミングです。通常の工具鋼は加工後に焼入れ・焼戻しを行って硬度を高めますが、プリハードン鋼は出荷時点ですでに熱処理が施されているため追加の焼入れが不要です。そのため加工工程が簡略化されます。ただし硬度の上限は工具鋼より低く、高摩耗環境では工具鋼の方が適している場合があります。
プリハードン鋼はどのような用途で使われますか?
主にプラスチック射出成形金型で使用されることが多く、加工性・研磨性・寸法安定性のバランスが求められる用途に適しています。例えば家電部品、日用品、化粧品容器、透明プラスチック製品などの金型で採用されるケースが多く、精密金型ではNAK55やNAK80などのプリハードン鋼が使用されることがあります。

まとめ

プリハードン鋼とは、あらかじめ硬度調整された状態で供給される鋼材であり、金型製作において大きなメリットを持つ材料です。

  • 焼入れ工程が不要
  • 加工性が良い
  • 歪みが少ない
  • 納期短縮が可能

一方で硬度上限が低いため、用途に応じて工具鋼との使い分けが重要になります。

金型や精密部品の加工では、材料特性を理解したうえで加工方法や鋼材を選定することが、品質・コスト・納期のすべてを左右します。

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